【栄養士監修】楊貴妃も愛した美容の果実「なつめ」の効果とおすすめの食べ方とは



【栄養士監修】楊貴妃も愛した美容の果実「なつめ」の効果とおすすめの食べ方とは

 

ライター_笹尾真波

薬剤師
大学院卒業後、国内外の製薬会社や調剤薬局にて薬の企画開発・マーケティングからDI業務(医薬品情報業務)など、幅広く薬に関わりながら、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメの販売業務を行う。

現在は、今までの経験を生かし、薬剤師として勤務する傍ら、正しい薬の使い方をはじめ、生活習慣や食習慣の改善を提案をする薬剤師ライターとしても活動中。

  
 
栄養士・五十嵐渚

栄養士

東京家政大学・家政学部栄養学科栄養学専攻卒業後、2021年よりケータリング会社にて栄養士・フードスペシャリストとしてメニュー考案やアレルギー対応等を担当


冷えや肌トラブルなど、女性が抱える多くのお悩みで鍵を握っているのが「血のめぐり」です。

さまざまな食材が血流改善に良いと言われていますが、今回ご紹介する「なつめ」もその一つです。聞いたことはあっても食べたことはないという方も多いのではないでしょうか?

なつめは、あの有名な楊貴妃が好んで食していたともいわれているほど、豊富な栄養と優れた効能をもつフルーツで、とくに特有の不調を抱えがちな女性におすすめの食材です。

そこで今回はなつめの栄養と効果、手軽に取り入れる方法と注意点までご紹介します。

 

「なつめ」ってどんな果実? 含まれる栄養とは?

なつめは中国料理の食材でもあり、生薬原料の一つでもあります。クロウメモドキ科の落葉高木であり、その果実を乾燥させたもののことを一般的に「なつめ」と呼びます。中国など西アジアが原産地で、なつめを最も多く栽培しているのも中国です。

見た目がデーツと似ているので間違われることがありますが、なつめとデーツは違う植物です。日本でもスーパーや薬膳食材を扱うお店などで売られていて、とくにドライフルーツとして見かけることも増えてきました。

なつめの味とは?

生のままで食べると、りんごや梨のようにシャキッとした歯触りで、ほんのりとした甘みと酸味がある果物です。実が熟してきて赤黒くなってくると、甘みが増していきます。

さらに、ドライフルーツや漢方食材としても使われる乾燥したなつめは、生のままよりも甘みが強く増します。乾燥のなつめはそのまま食べることもできますが、食材として料理やお酒などに用いることもできます。

漢方としても使われる「なつめ」栄養成分とは?

なつめが注目を浴びているのは、その豊富な栄養成分のためです。中国では古くから老化防止や体の強化によいと伝えられ、生薬では「大棗(たいそう)」と呼ばれ漢方薬にも用いられています。日本でも大棗が含まれた漢方薬はよく用いられています。

なつめには、葉酸やパントテン酸、ナイアシンなどのビタミンB群、鉄、マグネシウム、カリウムなどのミネラル、さらに豊富な食物繊維が含まれています。栄養素がぎゅっと詰まっているので、健康や美容のためのヘルシーなおやつとして取り入れるのもおすすめです。

 

美活に嬉しい「なつめ」の効果とは?

なつめは栄養が豊富に含まれているため、とくに美容にいい食材としての注目が高まっています。また、健康維持にも優れた効果を発揮してくれます。では、どんな効果があるのか、詳しく見ていきましょう。
 

「なつめ」による美容効果

 なつめは次のように、さまざまな美容効果をもたらしてくれます。

  • アンチエイジング効果
  • ダイエット効果(むくみ解消)
  • 美肌
  • 美髪


なつめは世界三大美女でもある楊貴妃が好んで食べていたということからも、肌を健やかに美しく保つ効果、アンチエイジング効果が高い食材として認められています。中国では「1日に3粒食べるだけで年を取らない」ということわざがあるほど、滋養効果の高い食材として食べられたきた歴史があります。


漢方や薬膳の世界では、栄養が内側から満ち足りることによる滋養効果に加えて、血液を作ったり蓄えたりする役目をもつ五臓である脾と胃の虚弱を補強する効果があると考えられています。栄養が満ち足りて十分に巡る状態を整えることが皮膚や髪の毛の健康のためにも欠かせません。


さらに、なつめには、カリウムや食物繊維(ペクチン等)など、体から余分なものを排出するサポートをする栄養が豊富に含まれているため、むくみ解消やデトックス効果が期待でき、ダイエット中の栄養補給にも最適です。

体の中からバランスを整える効果

なつめには美容だけではなく、健康を内側からサポートする効果もあります。

  • ストレス軽減
  • 精神安定
  • 貧血予防 血流 & 新陳代謝向上効果
  • 抗アレルギー作用

なつめに多く含まれるパントテン酸は精神安定に欠かせない栄養素です。不安感を和らげて胃腸を整える作用があるため、精神不安、不眠の方に漢方で用いられることがあるほどです。そのためストレス対策や精神安定にもなつめは役立ちます。

さらに、なつめは鉄分補給にも役立つため、女性に多い鉄欠乏による貧血にもおすすめです。また、貧血や血の不足は胃腸の働きの低下が原因のことも多く、なつめは胃腸を元気にすることで血の不足を補うはたらきもあります。

また、なつめの特徴として、抗アレルギー作用や抗補体作用といって免疫やアレルギー反応を調整する作用があることが分かっています。

 

なつめのおすすめの食べ方は

なつめのおすすめな食べ方は、生で食べる生なつめ、ドライフルーツになった乾燥なつめ、ハーブティーに入れて飲むなどの方法が摂取しやすくておすすめです。
生でも乾燥させたなつめでもそのまま美味しく食べられますし、さまざまな料理に取り入れて楽しむこともできます。

なつめは日本人にとっては少し馴染みのない食材だけに、少し日常的に食べるにはハードルが高いと感じる方も多いかもしれません。でも、実は意外なほど簡単に毎日の生活に取り入れることができます。おすすめの食べ方を参考に、なつめを日常に取り入れてみてください。

生で食べる生なつめ

なつめは生で食べることができる果実のため、なつめに入っている栄養と簿用効果をまるっと取りたい方には生なつめがおすすめです。
日本ではあまり生で食べる習慣がありませんが、じつは岐阜地方のある地域では生のなつめを甘露煮にして食べるという風習があるのだそうです。なかなか生のままで手に入れることは難しいかもしれませんが、もし生のまま食べていただくとフレッシュな栄養を取り入れることができておすすめです。

乾燥なつめをそのまま食べる(ドライフルーツ)

最も取り入れやすいのがドライフルーツのなつめです。そのまま乾燥させてドライフルーツにしたものと、乾燥させて油で揚げたタイプがあります。カリカリとした食感が特徴で、油で揚げてあるタイプはさらにカラッとして食べやすくなっています。

また、スライスしたタイプが「なつめチップス」として売られていることもあります。嫌な甘さが残る感じがないので、手軽なおやつとして最適です。

ハーブティーとして飲む

もちろんそのままでも召し上がれますがドライタイプのなつめは、ハーブティーにも用いることができます。なつめの自然な甘い香りが特徴で、ノンカフェインだから体にもやさしいハーブティーです。

作り方としては、水から煮出してじっくりと煮込む方法と、煮込んだなつめを裏ごししてさらに煮詰めてつくる方法があります。なつめの栄養をまるごと摂取したいならば、少し手間はかかりますが裏ごしする方法がおすすめです。もちろん、製品によっては熱湯をそそいで時間を置くだけで飲めるものもあります。

料理に入れる

ドライタイプのなつめは薬膳でもよく使われているように、お粥やスープなどに入れても美味しくいただけます。サムゲタンのような韓国料理のトッピングに加えると、ほんのりとした甘みと彩りをプラスすることもできておすすめです。

薬膳では胃腸のはたらきを高めたり、血を増やすなどの薬効があることから、疲労回復、貧血予防、エイジング対策などの料理に用いられています。煮物などに使っても甘みがほんのりと付くので優しい味わいになります。

1日のなつめの摂取量は?

なつめは1粒あたり約7キロカロリーです。100グラムで約290キロカロリーとなります。なつめはフルーツとしてはややカロリーが高い食材です。なつめを摂取しすぎると、糖分の摂りすぎとなってしまうため、太りやすくなってしまいますので、1日に3粒~10粒ほど(70キロカロリー)に抑えるとよいでしょう。


 

「なつめ」を食べた方がいい方、食べない方がいい方

栄養豊富で優れた健康効果や美容効果があるため、幅広い方におすすめの食材ですが、とくにどのような方に適しているのでしょうか?

また、逆に食べない方が良い場合や注意点についても確認しておきましょう。

「なつめ」はこんな人におすすめ!

なつめは必須な栄養が豊富に含まれているため、老若男女問わず取り入れていただきたい食材です。特に次のようなお悩みがある方は、なつめを上手に食生活に取り入れていくと良いでしょう。

  • 冷え性や冷えに悩む方
  • むくみやすい方
  • 妊婦さん
  • ホルモンバランスが崩れやすい方
  • ストレスを感じやすい方
  • 肌トラブルのある方
  • 髪の毛を美しく保ちたい方

なつめは鉄分が豊富に含まれていて、胃腸から栄養状態を建て直すような効果があるので、貧血気味の女性や妊娠中の栄養補給としても適しています。鉄分補給で知られるプルーンよりも鉄分が豊富とも言われています。

とくに生理によって血を失いやすいため女性は「血」のトラブルを抱えがちです。なつめは滋養・補血作用により女性のお悩み全般を支えてくれるため、婦人科系のお悩みや美容に関心が高い方、若々しさを保ちたいという方はぜひ取り入れて行くと良いでしょう。

こんな方は気をつけて

なつめは食品として取り入れる限りは、適量を守ればとくに問題が起きることは少ない安全な食べ物です。ただ、次のような方は念のため注意が必要です。

 

  • なつめにアレルギーがある方、食物アレルギーがある方
  • お腹が張りやすい方、お腹を下しやすい方
  • ほてりやのぼせが強い方
  • 漢方薬を服用している方
  • 乳幼児、入院中や術後など医師による指導を受けている場合

なつめには豊富な食物繊維が含まれているため、まれに食べすぎるとお腹がゆるくなることがあります。また、なつめは漢方薬にも含まれていることがあるため、漢方薬を飲んでいる場合にも医師や薬剤師に相談しておくと良いでしょう。



まとめ

なつめは近年の健康ブームで、ますます健康食材や美容に良い食材として注目されています。思っている以上に簡単に手に入れることができて、しかも美味しく手軽にいただくことができるので、まだ食べたことが無いという方はぜひ試してみてください。

また、食べるだけではなく、ハーブティーとして日常に取り入れてみるのもおすすめです。ぜひ、なつめをもっと有効活用して、ご自身らしい美しさと健康を目指してみてくださいね。

 

監修者コメント

中国や韓国では一般的ななつめ。
横浜中華街や新大久保では手に入りやすいかと思います。
今回は、私が普段意識しているフルーツの選び方を紹介します。

フレッシュフルーツの選び方
  1. 重量感があり、手に取った時にずっしりとした重さを感じるもの
  2. 見た目にハリ&ツヤがあり形が綺麗なもの
  3. 色味がはっきりとしていて、変色や褐色がなく、綺麗だと思えるもの

*ドライフルーツを購入する時には、色味や重量感でなく、成分表示の「 / 」以降の添加物表記が少ないものを選びましょう

食材の正しい選択をマスターして、その食材が持っている味や栄養価をダイレクトに感じると新たな発見があるかもしれません。

 



ライター_笹尾真波

薬剤師

大学院卒業後、国内外の製薬会社や調剤薬局にて薬の企画開発・マーケティングからDI業務(医薬品情報業務)など、幅広く薬に関わりながら、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメの販売業務を行う。

現在は、今までの経験を生かし、薬剤師として勤務する傍ら、正しい薬の使い方をはじめ、生活習慣や食習慣の改善を提案をする薬剤師ライターとしても活動中。