2024年07月08日   2024年07月17日

“サーキュラーエコノミーを目指す”をコンセプトに、現代女性の心に寄り添い、心地良さを徹底的に追求したスキンケア発想のシルクランジェリーブランド「NEYI(ネイ)」

日本で大学卒業後に一度就職をするも、ファッションへの思いから繊維業界へ就職し、その後ロンドンのビジネススクールへ進学しながら「NEYI」を立ち上げたLily(リリー)さん。

女性として、母として、ファッション業界を見てきた者として、、、さまざまな視点があったからこそ生まれた「NEYI」のストーリーを伺いました。

※この記事は前編です

“40代に入って直面した自身のトラブル”から生まれた

私が40歳になった頃の話ですが、肌が急激に敏感になり始め、デリケートゾーンにも痒みを感じるようになったんです。

当初は自分の不衛生が原因なのでは、と悩んであれこれ試していたころ、ある日メディアで「40歳頃を境にデリケートゾーンが乾燥しやすくなる」ということを知って、そこからは皮膚科に通ったり本を読んだりしてデリケートゾーンのケアをする中で、シルクの下着を着用し始めたのがきっかけでした。

はい、そうです。

シルクの下着に出会って色々調べているうちに、シルクという繊維は、実は1番肌に良くて、機能性が高い素材ということがわかり、そこからはすっかりシルクの虜になりました。

シルクって贅沢なイメージとかラグジュアリーのイメージがありますが、実際には、タンパク質がたくさん含まれていて、夏は涼しくて冬は温かいという、肌にとって1番良いナチュラルファブリック(自然な生地)で、これこそ自然の機能性繊維だなって。

私はもともと繊維業界でお仕事をしていたこともあり、今まで扱ってきた繊維と比べた時の、シルクという繊維の素晴らしさや、さらなるポテンシャルを感じていました。

「無かったから作った」2年かけてたどり着いた理想の下着

私自身がシルクユーザーになったものの、実際その当時販売をされていたシルクの下着には必ずと言っていいほど化繊レースがついていて、それが痒くて痒くて…

せっかくシルクという素晴らしい素材を使っていながらも、本当にもったいない。そして私のように肌に悩みを抱えている人にとっては死活問題だったんです。

そんな経験から「オールシルクの下着がなければ自分で作ろう」と思ったのがきっかけです。

大きく分けて3つあります。

1つは肌に触れる面をできる限りシルクにしていること。

本当に肌が敏感な方は糸でもかぶれたりすることがあるので、”コの字とじ”という2枚の布を縫って最後にひっくり返す縫い方を採用しています。そうすることで、肌に触れる糸が最小限になるからです。

ご自身の持っている下着を見ていただくとわかりやすいのですが、実は下着って意外と縫製が荒かったり、あれこれ外側に出ちゃってたりするんですが、それでは美しくない。そして何よりも痒い!ので、縫い方もこだわっています。

そしてもう1つは、使っている生地です。

世の中のシルク製品はほとんどがニット生地*なのに対し、NEYIは布帛(ふはく)*の中でもなめらかな肌触りが特徴のサテン織りシルクを使っています。

表面が滑らかですべすべ。 さらりとした肌触りで、1年を通して快適に身に着けることができます。

生地には多少の伸縮性が必要となるため、ストレッチシルクというポリウレタンを少量(全体の7%ほど)含んだ生地を使うことで、サテンシルクの極上の肌触りと使いやすさのバランスをとっています。

ニット:一本の糸でループを作って編み込む生地。Tシャツ、ニットなど伸縮性が高いものの型崩れしやすい。
布帛(ふはく):糸を縦横に織り込むことでできる生地。伸縮性が低い分型崩れしにくい。

そして最後の1つがデザイン性。

肌への優しさという意味でも化繊の装飾はつけていませんが、できる限りシンプルに、パターンや色でデザイン性を持たせています。

そうですね。下着は着脱のしやすさだけでなく、心地良さ、そしてブラであればホールド感もやはり必要になってくるので、サテンシルクで作るのはやっぱり難しいです。

日本内外での工場探しに始まり、試作をモニターさんにお試しいただき改良したりと、開発には2年ほどの年月を費やしました。

出産、子育てが終わると8割が続ける”ノンワイヤー”

ありがとうございます。

私も子育てをしているのでわかりますが、出産を経て授乳をするタイミングってノンワイヤーのブラジャーを利用する方がほとんど。そして1年近くノンワイヤーを使うと、もうワイヤーブラに戻れない方が多いんですよね。

授乳を終えた8割ほどのママは、そのまま無印やユニクロでノンワイヤーのブラやブラトップを使う。かくいう私もそうでした。笑

私も授乳が終わり、数年間はノンワイヤーのブラトップを使っていたのですが、シルクと出会い、痒みがでていたデリケートゾーンの肌の様子が全く変わり、シルクへと移行していきました。

肌にいいことをしながら、自分を大切にする下着

子供が小さい頃って、買い物やお出かけやセルフケアなど、自分を大事にする機会が激減するし、特に子供が小さいうちは自宅で過ごす時間も増えるから、質の良いインナーで自分を大事にする、という選択があってもいいのではないかと思います。

ノンワイヤの中でも最大限にホールド感を出そうと作ったのが”シェフィールド”です。
ストラップ部分などもすごく太くて、タンクトップに近い形ですね。

“シェフィールド”は「ちょっと色気がない」っていう声がモニターさんからあがって、生まれたのが”ロンドン”なんです。

サテンシルク自体がちょっと色気がある生地なのと、私自身もそういった雰囲気が好きなので、ストラップを細くしました。狙い通り”シェフィールド”とはだいぶ違う印象になったかと思います。

自分を大切にしながら、環境と未来への配慮も

「サーキュラーエコノミー*を目指す」をコンセプトに、現代女性の心に寄り添い、心地良さを徹底的に追求したスキンケア発想のシルクランジェリーブランドです。

サーキュラーエコノミー:大量生産・大量廃棄が一方向に進む現代の消費的な経済に代わり、資源の効率的かつ循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を目指す社会経済システム。近年ヨーロッパを中心に提唱されている新しい経済のしくみ。

特に食品業界とファッション業界はロス(廃棄)が非常に多く、環境への負荷などが社会問題として問題視されています。ファッション業界では、次のシーズンに新しい商品を売るために、余ってしまった残反(布のロール)を焼却しているんです。

イギリスの大学院で勉強をする中で「お金をかけて作ったものを、さらにお金をかけて処分すること」に疑問を感じた私は、もともと追い求めていた「シルク」とその疑問を掛け合わせ、ブランドを立ち上げることにしたんです。

時折ブランドから限定で出しているピローケースは、フランスの生地屋さんから世界的なハイブランドの使わなくなった残反を買い付けて、アップサイクルという形で製品化しているんです。

このアップサイクルの取り組みはもっと大きく、いずれはブランド全体でできればと考えています。

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