どくだみは日本では古くから民間薬として使われてきた経験もあり、どくだみ茶としてもよく知られています。しかし、どんな効果があるのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
身の回りでもよく見かけるどくだみは簡単に日常生活に取り入れることができる身近なハーブです。そこで今回は「どくだみの効能効果や美容効果について」、また「簡単な取り入れ方」についてご紹介します。
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どくだみとは?
どくだみとはどんな植物なのでしょうか?まずはどくだみについての基本的な知識を確認してみましょう。
日本人に馴染みのある植物
近所にどくだみが群れをなして生えているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。どくだみは昔から日本人に親しまれてきた薬用でもあり、道端や庭などに生えて抜いてもすぐに生えてきてしまう厄介ものしても知られています。名前こそ「毒」っぽいですが、じつは「毒矯(どくだ)み」毒を抑えるという意味に由来しており、どくだみに毒はありません。
葉っぱはハート型のような形をしており、細長い茎で横に広がったように群生する性質があります。非常に繁殖力が強く、独特の臭いもあって嫌われもの扱いされている植物ですが、非常に優れた薬効のある植物で日本人とも長い歴史があります。
身近なところではどくだみは「どくだみ茶」として今でも愛飲されていて、日本の民間薬の代表的な存在です。
どくだみに含まれる成分は?
どくだみには豊富に食物繊維が含まれており、カルシウム、カリウムなど体に必要なミネラルも多いことから健康茶として使われてきた歴史があります。
また、フラボノイドとしては、クエルセチン、クエルシトリン、イソクエルシトリンやルチン、特異な臭いの原因でもあるデカノイルアセトアルデヒドなどアルデヒド類も含まれています。
どくだみの濃い緑色の由来にもなる色素成分には抗酸化作用や血管の強化、炎症を抑える効果などがあり、他にも健康にも美容にも良い成分が豊富に含まれています。
どくだみの効果・効能
どくだみは利尿・緩下(お通じを促す)・解毒の民間薬として使われてきました。中国から伝わった漢方薬とは違い、日本で発祥したのが民間薬です。どくだみは、ゲンノショウコやセンブリといった民間薬と並んで「日本三大民間薬」の一つです。
また、漢方の生薬としてはどくだみの開花期の地上部を乾燥させたものを十薬(じゅうやく)といい、日本薬局方という薬の規定書にも収載されています。それほど、どくだみは薬効が高いことが分かっているのです。
他にもどくだみには次のような効果があります。
- デトックス効果
- 便通改善効果
- 美肌効果
- 高血圧予防
- 清熱作用
- 皮膚炎・ニキビの改善効果
- アレルギー改善効果
- 炎症を抑える効果
とくに成分中のフラボノイドは血管強化や尿の排泄を促す効果、炎症を抑える効果をもたらすなど「どくだみの薬効」を語る上では欠かせません。
さらに、食物繊維やミネラルが豊富であることから、デトックス効果も高く、体の内側からキレイにしてくれる効果があるため、美容面においても優れた効果を発揮します。
どくだみの意外な美容効果とは
どくだみの美容における効果が近年注目を浴びています。美容面でお悩みを抱えている方にとっては、どくだみは要注目の素材です。もう少し美容効果について掘り下げてみましょう。
毛穴ケア対策に
どくだみエキスには抗炎症作用があり、それを毛穴ケアに応用する研究が進められています。いわゆる毛穴対策のスキンケアは毛穴を引き締める「収れん作用」がポイントになりますが、どくだみの場合は「炎症を抑える効果」が毛穴に作用します。
根本的な炎症にアプローチするため、毛穴に悩んでいる人にとって、どくだみエキスは要注目の成分と言えるでしょう。
美白効果
どくだみには美白効果もあるといわれています。紫外線などのストレスによるダメージを防ぐ抗酸化作用に優れていて、さらに体内に溜まった毒素の排出を促す効果があるため、きめ細かな美しい肌を手に入れたい方におすすめです。
また、年齢によるお悩みにも効果が期待できるため、エイジング対策として内側から外側から取り入れるのも良いでしょう。
どくだみの取り入れ方
では、どくだみをどう取り入れたら良いのでしょうか?お茶として飲用する以外にも意外な使い方があります。
飲用として
どくだみ茶は今でも薬局やドラッグストアに行けば簡単に入手することができるほど、多くの愛飲者がいるお茶の一つです。どくだみ茶というと利尿効果・デトックス効果や便秘解消など、排出する作用が高いお茶として知られています。
他にも食物繊維が豊富であり、腸をキレイにすることで美しい肌を維持するためにも有用な植物です。老廃物の排泄を促しつつ、肌の健康に必要な栄養も補給することができます。
便秘でお悩みの方、美肌を手に入れたい方、デトックスしたい方にとって、どくだみは飲むだけで簡単にデイリーなケアができるのでおすすめのお茶です。他にもどくだみジュースとして取り入れる方法もあります。
食用として
食用としてはあまり馴染みはないかもしれませんが、どくだみは昔から山菜として天ぷらにして食べられてきたほど立派な食材です。茹でてから水に晒して臭いが無くなったら油炒め、和え物、などの料理に使うこともできます。
どくだみという名前からして美味しくないものと思われがちですが、若い葉っぱであればそれほど臭いは強くありません。ちなみに、東南アジアの国ベトナムではどくだみをパクチーのように春巻きなどに入れて食べられています。
化粧品など外用として
どくだみはお茶や食用だけではなく、化粧品成分としても応用されています。
どくだみは古くはそのすり潰した液体を皮膚に塗布して湿疹やかぶれ、皮膚炎の治療に用いられてきたほど皮膚に対する効果に優れています。化粧品成分である「どくだみエキス」は、抗菌、抗炎症、抗酸化、消臭、美白など幅広い目的で配合されているほどです。
他にも入浴剤や化粧水にするなど、生のどくだみを加工して使用することもできます。手作りする手間はかかりますが、気になる方はぜひ試してみてください。
どくだみの摂取で注意したいこと
どくだみは長く日本人に親しまれてきた経験の長い素材です。しかし、取り扱いにおいては注意すべきこともあります。どくだみを取り入れる際に注意すべきポイントを押さえておきましょう。
どくだみの副作用
どくだみは利尿作用やお通じを促す作用があるため、強く作用すると下痢や腹痛を引き起こすことがあります。また、尿意を催しやすくなるため生活に支障をきたすこともあります。最初から大量に摂取するのではなく、少しずつ様子を見て増やしていくことをおすすめします。
腎臓や心臓が悪い方は医師に相談
どくだみにはカリウムが豊富に含まれているため、心臓が悪い方や腎臓に疾患を抱えている方の場合は摂取に注意が必要です。他にも何かしら治療を受けている場合には医師に相談してから摂取することをおすすめします。
妊娠中や授乳中は要注意
どくだみには穏やかにお通じを促す作用(緩下作用)があるため、妊娠中の便秘対策に取り入れることもあります。ただ、子宮収縮に影響する可能性があるため、妊娠初期や妊娠後期では過度な摂取は控えた方が良いでしょう。妊娠中や授乳中に摂取したい場合には、医師にあらかじめ相談してからの方が安心です。
どくだみをもっと生活に取り入れてみよう
古くは身近な薬草として重宝されてきたどくだみですが、近年になって優れた薬効に再び注目が集まっています。どくだみ茶であれば、入手も簡単で飲むだけで取り入れやすいので、気になった方はぜひ試してみてはいかがでしょうか?
単品では飲みにくいと感じられる場合には、他のお茶と混ぜて飲むのもおすすめです。苦手意識がある方でも慣れれば意外と美味しくいただるようになるので、まずは試してみることが大事です。
ぜひこの機会に、健康管理や美容のため、どくだみの力を取り入れてみてくださいね。
薬剤師
大学院卒業後、国内外の製薬会社や調剤薬局にて薬の企画開発・マーケティングからDI業務(医薬品情報業務)など、幅広く薬に関わりながら、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメの販売業務を行う。
現在は、今までの経験を生かし、薬剤師として勤務する傍ら、正しい薬の使い方をはじめ、生活習慣や食習慣の改善を提案をする薬剤師ライターとしても活動中。