アジアン料理に使われるパクチーが好きな女性は多いかと思いますが、パクチーには健康面にも優れた効果があることをご存知ですか?また、西洋料理に使われるコリアンダーとパクチーの違いを知らないという方も少なくないはずです。
そこで今回はパクチーとコリアンダーの違い、知られざるパクチーの効能と健康と美容のためにもっと活用する方法をご紹介します。
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パクチーとコリアンダーの違いとは?
タイ料理やベトナム料理などに使われるパクチーとカレーなどのスパイスに使われるコリアンダーは実は同じ植物だとご存知でしたか?
パクチーもコリアンダー(Coriander)は学名 Coriandrum sativumという名前の植物です。コリアンダーは英語圏での呼び名であり、中国ではシャンツァイ(香菜)とも呼ばれています。スペイン料理ではシラントロとも呼ばれます。
植物的にはコリアンダーもパクチーも同じ植物に由来していますが、日本ではスパイス用に粉末化または葉を乾燥させたものをコリアンダーと呼んで区別しています。ただ、実際には各国で育てられているパクチーは品種の差があり、全く同じ種類とは限りません。
パクチー(コリアンダー)の効果とは?
パクチーといえば、その特異な香りに好き好みが分かれる野菜ですが、実はその魅力は風味の豊かさだけではありません。パクチーには健康にも優れた効能がたくさんあります。ただ食べているだけでは勿体ないパクチーの効能をご紹介します。
身体に対する優れた健康効果
パクチーにはビタミンB1、B2、C、 E、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンが豊富に含まれています。また、カルシウム、リン、鉄分などのミネラルに、リナロール、タンニン、りんご酸などの天然精油もたくさん含まれています。
健康面に対しては次のような効果が論文などで報告されています。
- 殺菌の増殖抑制作用(ドデセナールに含まれる精油成分による)
- 血糖値上昇抑制作用
- 血管内壁にてコレステロールの蓄積を防ぐ作用(パクチーに含まれる酸による)
- 抗炎症効果(関節の炎症を抑えるなど)
- 鎮咳作用
- 消化機能促進
- 心臓疾患のリスクを下げる効果
- 抗菌効果・殺菌効果(口臭予防、風邪対策など)
- 抗酸化作用
- 偏頭痛に対する鎮静作用など
非常に幅広い効果がパクチーには秘められていることが分かります。とくに生活習慣病やエイジング対策、感染症対策や胃腸の消化を促す効果など毎日の生活にも役立つ効果が注目を浴びています。
さらに現在も世界各国でパクチーの健康に対する検証が続けられており、ますますパクチーの健康効果への期待が高まっていると言えるでしょう。
精神面に対するリラックス効果
パクチーは身体面だけではなく精神面にも優れた効果を発揮します。その独特な香りは好き嫌いが大きく分かれるところがありますが、香り自体が持つ力は絶大なものがあります。
パクチーの芳香成分には(E)-2hezenal(E-2ヘキセナール)という成分があり、カメムシの匂いともいわれるのはこの成分の香りが原因です。
パクチーには他にもゲラニオール、ボルネオール、リナロールなどの精油成分が含まれています。これらはアロマテラピーでも非常によく活用されている香り成分であり神経の興奮を鎮静させる効果があります。偏頭痛に対して効果をもたらす他、緊張を解いたり、不安を和らげたりなどのリラックス効果、抗ストレス効果もパクチーが持つ優れた効果と言えます。
パクチーの味や風味を活用した身近な各国料理とは?
パクチーは日本でも非常なメジャーな食材となり、スーパーでも見かけることが増えました。でも、パクチーを食べたことがないという方もまだ多いかと思います。一体パクチーはどんな味で、どのような料理に活用されているのでしょうか?
パクチーはどんな味?
パクチーというと強烈な風味があるというイメージがあるかもしれませんが、実はパクチーに味自体はほとんどありません。葉や茎を噛むと少し甘みと苦味を感じる程度です。
では、どうしてパクチーは強い癖があると感じられるのかというと、その独特な香りが理由です。ヒトは五感で味を感じ取っているため味と香りが混同しやすいですが、パクチーはその香りを楽しむものと言っても良い位です。
ただ、味の感じ方には個人差が大きく、とくにパクチーの味については好みが大きく分かれるため苦手と感じる人も多くいます。
パクチーを使った身近な料理
パクチーというとタイ料理やベトナム料理など東南アジアや、メキシコ料理などのエスニック料理が有名ですが、実は非常に多くの世界各国の料理で活用されています。
- タコス(メキシコ)
- フォー(ベトナム)
- 水餃子(中国)
- トムヤムクン(タイ)
- カレー(インド)
- スペイン料理
このようにアジア、中南米、欧州など世界各国でパクチーは料理に用いられています。ただ、実際にタイやベトナムに訪れていると、想像しているほどパクチーばかり食べているという訳ではなく、少しトッピングで使う程度のことが多いです。むしろ「パクチーサラダ」「パクチーラーメン」などのメニューがあるように、日本の方がパクチーを主体とした料理を好んで食べているのかもしれません。
美活にパクチーを用いる方法
パクチーは食べて楽しむだけではなく、美容にも用いても有用な植物です。パクチーを外側からも取り入れて、毎日の美活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
ハーブティーで取り入れる
どんなにパクチーが好きでも毎日のようにパクチーを料理に使うのはなかなか難しいかもしれません。もっと手軽に取り入れるならばハーブティーがおすすめです。パクチーのハーブティーというと少し珍しい気がするかもしれませんが、コリアンダーのハーブティーという視点で探してみると案外と見つかります。
ハーブティーに用いられるのは葉の部分ではなく夏の終わりに収穫できる果実(種子部)で、フルーティーな香りが特徴です。消化を助ける作用もあり、デトックス効果もあるのでぜひお試しください。
精油をフェイシャルスチームに用いる
パクチー(コリアンダー)の香りはアーユルヴェーダでも用いられています。例えば、パクチー(コリアンダー)の精油をフェイシャルスチームに用いると、心からリラックスすることができ、さらに美容効果も期待できます。
ボディスプレーやマッサージオイルを活用する
もっと手軽にパクチーの香りを取り入れて美活したいという場合には、ボディスプレーやマッサージオイルを使うのがおすすめです。市販品もありますがキャリアオイルやアルコール、水などで薄めてご自宅で作ることもできます。パクチーの香りと成分を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか?
ただし、体質やアレルギーにより肌に合わないこともありますので、必ず使用前にはパッチテストなどで確認するようにしてください。
まとめ
世界中で愛されているパクチーの知られざる効能と意外な使い方をご紹介しました。パクチーについて深く知ることができたのではないでしょうか?パクチーはその特有な香りが最大の魅力ですが、食べて健康にも美容にも良い優秀な食材です。身近なスーパーでも手に入りやすく、家庭菜園やベランダ菜園でも育てることができます。ぜひ、もっとパクチーを毎日の食卓に取り入れて、ヘルシーな生活を目指してみてくださいね。
薬剤師
大学院卒業後、国内外の製薬会社や調剤薬局にて薬の企画開発・マーケティングからDI業務(医薬品情報業務)など、幅広く薬に関わりながら、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメの販売業務を行う。
現在は、今までの経験を生かし、薬剤師として勤務する傍ら、正しい薬の使い方をはじめ、生活習慣や食習慣の改善を提案をする薬剤師ライターとしても活動中。