2025年03月06日

こんにちは、リフェットセレクトの上田です。

突然ですが”奇数脂肪酸”って聞いたことがありますか?

「natoha ウルモリフト」は、ペンタデシル®︎含有オーラン油という、奇数脂肪酸やDHAを含む微細藻類由来のオイルをキー成分としたフードサプリメント。

私たちはなぜこの聞いたことのない成分を主成分としてサプリメントを作ったのでしょうか?
そこには「奇数脂肪酸」というキーワードがありました。

仕事上、普段からさまざまな新しい素材に出会う私たちですが、ペンタデシルⓇ含有オーラン油と出会った際に「今までの素材とは違う!」と感じ、ペンタデシルⓇ含有オーラン油の生みの親でもあり、メイン組成(成分)である脂肪酸を研究されている元筑波大学教授の彼谷先生の研究室にお邪魔し、弊社代表の大屋がお話を伺いました。

農学博士である彼谷先生は、長年にわたり”元の生態系に戻すことから環境問題へのアプローチを研究されてきました。
DHAブーム真っ只中の2014年に「魚類乱獲をせずDHAを取得する方法」を研究する中で、奇数脂肪酸であるペンタデカン酸やその大元となる微細藻類・オーランチオキトリウムと出会ったそうです。

奇数脂肪酸とは?
ペンタデカン酸とは?
私たちの美容や健康にどんな効果が期待できるの?

日本での奇数脂肪酸研究の第一人者とも呼ばれる彼谷先生とのお話を通して、そんなことをお伝えできたら幸いです。

事前知識「そもそも脂肪酸とは」

三大栄養素の一つであり、私たちのエネルギーの元となってくれる栄養素、脂質。

普段私たちが口にする動植物(肉、魚、野菜など)や菌類(キノコ、乳酸菌など)には、脂質が含まれており、その脂質を構成しているのがグリセリンと脂肪酸です。

脂肪酸は、複数の炭素、水素、酸素から構成されていますが、99%の脂肪酸の炭素数が偶数なのに対し、炭素数が奇数の脂肪酸「奇数脂肪酸」というものが0.7%ほど存在しています。

そして奇数脂肪酸の中で最も多いのが奇数脂肪酸の内85%を占める炭素数15のペンタデカン酸。

「ペンタデシル」はそのペンタデカン酸をメインにそのほかの奇数脂肪酸などを含んだ、微細藻類「オーランチオキトリウム」由来の機能性油脂です。

少し難しいかと思いますが「かなりレアな脂肪酸」とだけ覚えていただき、彼谷先生へのインタビューへと話を進めたいと思います。

DHAの研究過程で出会った奇数脂肪酸

 ー そもそもペンタデシル®︎含有オーラン油とは何でしょうか?

まず「オーラン油」とは、微細藻類である「オーランチオキトリウム」から得られる油を指します。

オーランチオキトリウムは採集場所によって組成(栄養バランス)が大きく異なるため、私たちが石垣島沿海で見つけた素晴らしい組成のオーランチオキトリウムを完全陸上培養し、そこから抽出したオーラン油を「ペンタデシル®︎含有オーラン油」と呼んでいます。

ペンタデシル®︎含有オーラン油には、DHA、EPA、奇数脂肪酸であるペンタデカン酸、そしてアラキドン酸などが含まれています。

なお奇数脂肪酸は小胞体ストレス*を緩和する食成分であることが判明しており、様々な生活習慣病などの予防や改善に期待される新たな油脂です。

 ー 奇数脂肪酸の研究に至った経緯を教えてください

(彼谷先生)最初のきっかけは2014年でした。

当時「自分達が研究を通して得てきた知識や技術をどうしたら社会に還元できるか」という考えを抱いていた中で、国家プロジェクトであるSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)からお声がかかり、「漁獲資源からではなく微生物からのDHA生産」という課題提案を行いました。

これから先の漁獲資源を考えると、魚からDHAを摂取するのは難しいだろうと考え、微生物からDHAの生産をやってみようという提案内容でした。

このプロジェクトはスタートから3年ほどで目標を達成できたものの、その当時のアメリカは遺伝子組み換えでDHAを作り始めていて、日本とは生産量が格段に違ったため「もうこれでは日本はこれからいくら頑張っても太刀打ちできない」と思い、研究内容の方向転換を考えていました。

そんな中、その存在自体が珍しい奇数脂肪酸というものがもたらす現象に興味を抱き、その現象が何か役に立つかもしれないと考え、奇数脂肪酸自体について研究を始めたのが、開発に至ったきっかけです。

希少な奇数脂肪酸の驚くべきはたらき

2020年頃から奇数脂肪酸の機能解明が急速に進んだとお聞きしましたが、奇数脂肪酸はどんな働きをするのでしょうか?

(彼谷)今となっては色々な機能が証明されてきましたが、一番驚きだったのはホルモンと同じような働きをするということがわかってきたことですね。

人の細胞の中には、核内受容体というのがあって、ホルモンを受け取って必要なものを作り、体の隅々まで分けてくれるんですが、その核内受容体のリガンド*になるという論文が出始めてて、これはとんでもないことだと。
※リガンド=特定のタンパク質や受容体に結合する物質。

それ以前は、奇数の脂肪酸からできるケトン体というのは、アルツハイマーとか、そういう病気に効くらしいというのが分かっていて、その後しばらくしてから更に様々な論文が出てきて、小胞体のストレス解消が見つかったのもその頃ですね。

小胞体や小胞体ストレスとは何ですか?

(彼谷)小胞体というのは、核でDNAから情報をもらって必要な酵素を作ったり、タンパク質を作ったり送ったりする細胞内の器官です。

小胞体がいつもタンパク質を作っていてオーバーワークになったりストレスが増えたりすると、不良なタンパク質を生み出してしまいます。不良タンパク質が生み出されると、不良タンパク質=ゴミがいっぱい溜まってしまい、結果小胞体自体がダメになっていくのです。

ー 奇数脂肪酸は人間の根幹である細胞の働きを助ける。
間違ったタンパク質を作ったり、運んだりしないように、小胞体ストレスを緩和する機能が奇数脂肪酸に見つかったということですか?

(彼谷)そうです。まだ分からないことも沢山あるのであまり微に入り細に入りお話をすると憶測の話になっていくのでこの辺でやめますが、そういう機能が発見されたということです。

メタボ、肥満、高血圧…「身体のおおもと」にはたらく奇数脂肪酸

ー 先ほどお話されていた、奇数脂肪酸の「ホルモンと同じような働き」の部分についても改めて教えてください

(彼谷)(ホルモンと同じような働きを持つ)奇数脂肪酸と結合した核内受容体は、

①小胞体でタンパク質を作り、
②そのタンパク質をミトコンドリアに移して、
③そこでエネルギー生産する

という、設計図から生産工場、そしてエネルギー生産に繋がっていくような、三位一体の流れを作り出すことができ、これが上手く回るようになると特定の病気だけじゃなくて、いわゆる代謝障害みたいなところにも作用してくるんです。

ー 代謝障害に働くということですが、分かりやすく例を挙げると?

(彼谷)具体的な例でいうと、 メタボリックシンドロームと言われる状態もそのひとつ。
ただし、肥満が治るとか、高血圧が良くなるとか、最終的な病気や症状ではなく、病気にならないようにその大元に働いてくれるのが奇数脂肪酸ということです。

少ないからこそ、その機能は”スーパー”

(彼谷)私の今までの天然物化学(生物が産生する物質(天然物と呼ばれる)を扱う有機化学の一分野)経験からすると、量が少ないものほど機能はスーパー(凄い)

自然界では、脂肪酸の中でも奇数脂肪酸は0. 7パーセント、要するに1パーセント以下しか存在しません。少量で効くというのは、ちょっとしか必要ないから少ないわけで、だからたくさん生体には存在しないのです。 

そう考えると、奇数脂肪酸というのは、ひょっとしたら今想像してる以上の機能があるかもしれないと考えていて、実際に1年間飲み続けて血液の臨床数値が正常になってしまったという例もあります。

これらから考えられるのは、奇数脂肪酸は体の中にある恒常性維持機能や体温であったりを常に一定に保とうとする機能が強化されるということではないかと考えています。

注目度が高まる奇数脂肪酸

ー ちなみに、なぜ近年になって注目されはじめたのでしょうか?

(彼谷)自然界では奇数脂肪酸は脂肪酸の中で1パーセント以下しか存在しないというお話をしましたが、だからというわけではないですが、存在自体が少ないからあまり注目されてこなかったという理由もあるかと思います。

また歴史的な話をすると、奇数脂肪酸は微量牛乳の中に入っているのですが、明治時代まで遡ると農林省の畜産試験場のお偉いさんが「奇数脂肪酸は毒ではないか」という風に考えていたそうです。

そして1970年代の後半には、アメリカでは肥満が国民病と言われるほど大変な事態になっていて、乳脂肪の摂取量を制限する流れとなりました。20年間にわたって国を挙げて対策を行い、乳脂肪の摂取量は4分の1まで落としたものの、肥満も治らなければ、同時に起こる2型糖尿病も何にも治らない。
「これはおかしい」ということで、マイナー脂肪酸も含めて再評価し直すこととなり、注目されるようになったのが奇数脂肪酸と側鎖の脂肪酸でした。

ー 今出ている情報だけでもかなり身体に良いことばかりですが、そうなってくると逆に万能感がありすぎて疑いたくなってきました…

(彼谷)何にでも効くっていうのは、 不思議だと思われるでしょうけど、奇数脂肪酸の秘密が、そこにあるわけです。

色々な細胞内の色々なところに作用するというところが特徴なのです。

なのでひっくるめて私は「生活習慣病」という風に言っています。
その他にも、 育毛や抗老化、色々なことが言われ始めていますが、とにかく引っかかってくるのが全部、奇数脂肪酸関連の代謝関連だと思います。

ー これまでの発想では「結果に対して作用するアプローチ」でしたが、 奇数脂肪酸の場合は「ベースに作用」することで、結果的に生活習慣病や肌、老化、育毛など様々な効果が得られるということですね。

(彼谷)そう。発想が違うのです。
今までは入口と出口しかわかってなかったから、なんでこんなに色んなところに効いてくるのかっていう疑問や、そんなわけないだろうという意見がありました。

しかし核内受容体に絡んでることがわかり、 そこからホルモンではないかということになり、奇数脂肪酸が酵素やタンパク質を作る引き金になってるとは誰も考えなかったわけで、それがわかったことが、やっぱり1番大きいんじゃないかなと僕は思いますよ。

ー 海外でも研究が進んでいるとのことですが、どんな研究なのでしょうか?

(彼谷)サイエンティフィックレポートという科学誌Natureと同じ会社から出ている論文なのですが、デン・ワトソンという研究者が書いた論文を紹介しましょう。

2020年の内容ですが、PPAR(核内受容体の一種)に働くとか、ミトコンドリア機能の修復とか、色々なことが書いてありました。
論文の中では、最後に「奇数脂肪酸であるペンタデカン酸は”必須脂肪酸”と言えるのでは」と提案していました。

奇数脂肪酸は、いろんな疾病との疫学調査も含めて、血中の奇数脂肪酸の量と疾病との関係が研究されるようになり明らかになってきたというのがここ数年の話になるというわけです。

奇数脂肪酸の素晴らしいポテンシャルと予防医療的な働き、まさに私たちが大切にしたいものが詰まっているようです。

後半は奇数脂肪酸の由来となる微細藻類オーランチオキトリウムなどについてお話を伺いたいと思います。

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