2020年08月27日   2023年01月05日

「板藍根(バンランコン)」というハーブの名前をご存知ですか?古くから生薬としても使われている薬効に優れたハーブであり、最近ではさまざまなウイルスに対する効果も注目を浴びています。この記事では「板藍根」とはどんなハーブなのか、効能・効果、また、簡単に生活に取り入れる方法についてご紹介していきます。

板藍根とは?

板藍根(バンランコン)という名前を初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。まずは板藍根とはどんなハーブなのかご紹介します。

板藍根はどんなハーブ?

板藍根はリュウキュウアイ(琉球藍・馬藍)、タイセイ(松藍)、ホソバタイセイ(細葉大青)というアブラナ科の植物の根を乾燥させて作られたものです。日本でこそまだ良く知られていませんが、中国では古くから病気の治療や予防に用いる生薬として非常に重宝されています。

実は身近なものにも使われている?

板藍根は、じつは日本では藍染の染料として、西洋ではインディゴ染めに使われてきた植物です。

「藍職人は病気知らず」という古い言葉があるほど、藍には病気に対する優れた効果があることが経験的に知られていました。藍染の織物を着ていると虫除けになり、野山を歩いてできる傷も治りやすいと重宝されていたのだそうです。そして現代になって、その薬効が再び注目を浴びています。

板藍根の効果・効能とは?

優れた薬効が古くから知られている板藍根ですが、具体的にはどんな効能・効果があるのでしょうか?

風邪やウイルスの予防と治療の補助に

板藍根は漢方の世界における抗生物質や抗ウイルス薬とされるほど、風邪やウイルスによる感染に効果が高いハーブです。古くから風邪予防、インフルエンザ、ウイルスによる感染性胃腸炎、扁桃炎などさまざまな治療に用いられています。経験的にとくに風邪、のどのケアなどに用いられてきたハーブなのです。

インフルエンザに効くって本当?

最近では、ウイルスに対する抑制効果があることが話題となっています。実際に、インフルエンザウイルスに対する効果については、いくつかの研究報告があります。

たとえば、試験管内での試験とはなりますが、インフルエンザA・Bウイルスに対する抗ウイルス効果が報告されています。(※1)

また、別の研究では板藍根の抽出成分はインフルエンザウイルスの付着に影響を及ぼして、ウイルスが寄生する宿主の細胞表面への結合を防ぐ作用があることが分かっています。 (※2)

実際にどの程度飲めば効くかということまでは明らかではないですが、冬の体調管理として取り入れてみてはいかがでしょうか?

※1: 「The effects of a hot water soluble extract (S-03) isolated from Isatis indigotica root on influenza A and B viruses in vitro」(NIH) 参照 
※2: 「In vitro inhibition of influenza virus infection by a crude extract from Isatis indigotica root resulting in the prevention of viral attachment」(NIH) 参照

SARSウイルスに対する効果も?!

板藍根は、かつて広州・香港を発端にアジア地域を震撼させた「SARS」ウイルスに対する効果が注目を浴びたことがあります。

板藍根は古くから高熱、発疹、咽頭痛を伴うような感染性熱性疾患に対する優れた効果が知られていたため、同様の臨床症状を引き起こすSARSにも応用されたといいます。

その効果は実験レベルでも確かめられていて、ある研究によれば、SARSウイルスの増殖・生育に重要なC3様プロテアーゼの働きを抑制効果が確認されています。(※3) 

※3 : 「Anti-SARS coronavirus 3C-like protease effects of Isatis indigotica root and plant-derived phenolic compounds」(NIH) 参照

新型コロナ対しても期待できる?!

いま世界中で感染が広がっている新型コロナウイルス(COVID-19)においても、板藍根の可能性に注目が集まっています。

じつはSARSウイルスも新型ウイルスも同じコロナウイルスの仲間であり、いずれも呼吸器に重大な影響を及ぼす感染症です。まだ研究が進んでいないため明確ではありませんが、抗ウイルス作用という作用機序からインフルエンザ、SARSなどと同様なメカニズムで新型コロナウイルスにも作用する可能性はあります。

予防手段が限られている中では、前向きに捉えて活用していくのも良いかもしれません。今後の研究報告に大いに期待したいところですね。

免疫力を高める効果

マスクや手洗いで予防することに加えて、感染症予防に大切なのが免疫力です。予防としては手洗い、うがい、除菌やマスクなども大切ですが、内側から負けない体を作っていきたいものです。

じつは、板藍根は漢方では清熱・解毒の作用があるとされ、ウイルスが出す毒素を解毒し、さらに免疫力を高める作用があるとも言われています。

免疫力は一朝一夕で高められるものではないため、日頃からの積み重ねが大切です。板藍根のようなハーブも難しく考えすぎずに、簡単に続けられる方法で生活に取り入れていくと良いですよ。

のど風邪、乾燥対策に

板藍根はのどの痛み、腫れ、熱っぽさにも効果があるハーブであり、喉スプレーとして重宝されている成分です。中国の小学校では子供たちに喉スプレーとして使用しているという話もあります。

インフルエンザや風邪の辛いときはもちろんですが、ちょっと喉がガラガラする、違和感があるという初期のケアにもおすすめです。

とくに口は外界と直接つながっている器官でもあり、日々さまざまな外敵に晒され続けているところです。それだけダメージを受けやすいので、「今日は喉が乾燥するな」「いがらっぽいな」と感じたら、早めの対処を心がけたいですね。

板藍根の使い方と注意点

生薬、漢方と言われるとハードルが高いかもしれませんが、板藍根はもっと身近な方法で取り入れることができます。ただし、取り入れる際に気をつけたい注意点も。そこ板藍根を取り入れる効果的方法と注意点についてご紹介します。

ハーブティーや飴で手軽に板藍根エキス

治療となると漢方や生薬として取り入れるのが良いですが、毎日の健康管理のためであればハーブティーや飴から取り入れる方法が手軽でおすすめです。

メーカーや種類によって配合量はさまざまであり、あくまで食品から取り入れる限りには過剰に摂りすぎる心配もありません。とくに体調が気になる時期には、積極的に毎日取り入れていくことをおすすめします。

ただし、ハーブティーや飴として取り入れる板藍根はあくまでも食べ物となるため、病気を治療、予防するのに十分な効果はありません。感染対策や体調管理の一つの方法として活用していただくのがおすすめです。

摂取に気をつけたい人、注意点は?

板藍根は老若男女とわず家族で取り入れていただけるハーブです。食品として取り入れる限りは、とくに飲み方などに決まりもありません。ただし、植物由来という点では、アレルギー体質の方は念のため気をつけられた方が良いかもしれません。

清熱作用があるため、からだが冷えないか心配という方は、ご自分に合った適量をとっていただくと良いでしょう。
なお、若干の子宮収縮作用あるため、妊娠中の方は摂取は控えていただき、うがいとして使っていただくなど工夫されると良いでしょう。ご心配であればかかりつけの先生にもご相談ください。

いかがでしたでしょうか?板藍根は長い歴史から経験的に知られている薬効と、さまざまな研究報告が立証する優れた効果をもつハーブです。快適に毎日を元気に過ごすため、ぜひ取り入れていただければと思います。

ハーブは私たちの生活に寄り添うような効果をもたらしてくれます。毎日のケアをより高めるために工夫しながら取り入れていきたいものですね。

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