Platycodon
 2020年11月04日   2022年08月25日

「桔梗」は紫、もしくは白の可愛らしい花を咲かせ、古くは万葉集から日本の家紋にまで使われるほど、とても日本人に馴染みが深い和漢植物の一つです。秋の七草としても知られ、その優れた薬効から医薬品から日常的に用いるハーブまで幅広く重宝されています。でも、桔梗を日常生活で取り入れている方は少ないのではないでしょうか。

実は、桔梗には優れた薬効が豊富にあり、食用として手軽に取り入れることもできるのです。そこで今回は知られざる桔梗の効能効果や使い方、日常生活での取り入れ方までご紹介します。

桔梗 (キキョウ)の効果・効能とは?

桔梗

桔梗の名前こそ知っているけれど、その薬効についてはよく知らない、という方は多いのではないでしょうか?まずは効果・効能についての知識を確認しておきましょう。

のどの痛みや炎症を抑える

桔梗は漢方の世界では、去痰、鎮咳、排膿の効果のある生薬として知られています。とくに呼吸器系の処方に欠かせない生薬であり、根っこに多くの有用成分が含まれています。

桔梗は高麗人参を上回るほどサポニンを多く含有していて、咳や痰を抑える効果、気道やのどの炎症を抑える効果があります。また、サポニンは泡立つ作用があるため、界面活性剤のように働いて痰の排出を促す効果があるとされています。そのため、鎮咳・去痰に桔梗には古くから用いられてきたという長い歴史があります。

桔梗は今でも風邪薬の配合生薬としても古くから重宝されており、臨床的にも漢方薬の配合生薬として活用されています。

腸内環境を整え、肌荒れ予防

桔梗と言うと鎮咳・去痰作用が有名ですが、じつは意外なところで優れた整腸作用もあります。桔梗の根っこには「イヌリン」と呼ばれる水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、腸の善玉菌のエサとなったり、毒素や老廃物などの汚れを絡めとることで腸内環境を改善します。

腸内環境は肌荒れにも関係が深いため、桔梗は腸内環境の悪化による肌荒れにも効果的です。腸内環境が悪化すると皮膚にも悪い毒素が行き渡って炎症を引き起こしてしまいます。食物繊維にはその毒素を腸の中で吸着して排出を促してくれる効果があるため、肌荒れの改善につながります。

薬膳生薬として重宝されている

桔梗は薬用だけではなく、薬膳食材としても使われています。肺の乾燥を和らげる食材として扱われ、とくに乾燥が強くなる秋口に摂るとよいとされています。

また、肺は水分調整を司っている臓腑でもあるため、水の流れを良くして水分排泄を促すためにも用いられます。さらに薬膳や漢方の世界において、肺は皮膚とも繋がりが深いとされており、肌荒れなど皮膚のトラブルにも桔梗が役立ちます。

その他の効果

桔梗に含まれるイヌリンには、コレステロールの低下作用や血糖値の上昇を緩やかにする作用など、さまざまな効果があります。

さらに、漢方の世界においては、元気をつけてくれる強壮作用、抗アレルギー作用、胃液分泌抑制、感染防御などさまざまな薬効があるとして重宝されています。

桔梗の取り入れ方

桔梗には優れた健康効果があるとは言っても、なかなか食用の桔梗をスーパーで手に入れることは簡単ではありません。では一体どうしたら桔梗を入手して、日常的に活用できるのでしょうか?

桔梗を食べるためには?

桔梗という名前は、根が結(桔)実して硬(梗)いことが語源です。さらに根っこにはサポニンという毒性がある物質が含まれていますが、湯がけば簡単に取り除くことができるため、古くは食糧難の際に重宝されたといわれています。下処理が難しい場合には、乾燥した状態の桔梗やキムチとして売られているので利用してみると良いでしょう。

乾燥した桔梗の場合は、水で戻してからナムルを作るのがおすすめです。ご家庭でも簡単に作ることができますよ。また、日本でも桔梗のキムチをインターネットなどで購入できます。辛いものがお好きな方は食べてみると良いかもしれませんね。

桔梗を飲用として取り入れるためには?

桔梗を最も手軽に日常的に取り入れるのならば、お茶として飲むのがおすすめです。桔梗茶や乾燥した桔梗は比較的入手もしやすくなっています。

淹れ方はとても簡単で、乾燥した桔梗に熱湯を注いで10分ほど煮出すとお茶ができあがります。さらにしっかりと成分を抽出したいならば、沸騰してから弱火で30分ほど煮出すと良いですよ。

また、少し苦味が強くて飲みにくいという方は、一緒に甘草と合わせて煮出すとほんのりと甘みがついて飲みやすくなります。飲まずにうがいとして使うこともできるので、乾燥する冬場はストックしておくと便利です。

どこで手に入れられるの?

桔梗は下処理の手間を考えると、すでに下処理されたものをお使いいただく方が簡単かつ安心です。

  • ネット通販
  • ハーブのお店
  • 漢方薬局、薬膳素材を扱うお店

以上のような場所で桔梗を入手することができます。切り刻んで乾燥させたもの、健康茶として売られているもの、また韓国の名称「トラジ」として売られていることもあります。

美容大国 韓国 で古くから愛される、桔梗の根「トラジ」の使い方

お隣の韓国では桔梗の根っこは「トラジ」と呼ばれ、桔梗は塩漬けにして食べられていたり、キムチ漬けにして食べられているのだそうです。ここでは幅広く用いられている桔梗の使い方をご紹介します。

韓国流 「トラジ」を食べる

桔梗の根っこは独特の苦味や辛味がありますが、でんぷん質であまり匂いはありません。湯こぼしてから用いることで、有毒なサボニンを取り除くことができるので、食用としてもいただくことができ、古くは食糧難の際に重宝されたといわれています。

桔梗の根っこには豊富な食物繊維が含まれており、さらに乳酸菌豊富なキムチ漬けにすることで美容にも良い食材として美容大国の韓国では昔から愛されています。他にも桔梗の根をサラダにしたり、チップスにしたり、冷静スープにしたりと様々なアレンジで楽しまれているようです。

韓国流 「トラジ」でダイエット

桔梗にはダイエット中に不足しがちな食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は余計な脂質の吸収をコントロールしたり、血糖値の上昇を緩やかにすることで食べ過ぎを防ぐという効果もあります。血糖値が急上昇することで分泌されるホルモンが肥満にも関わっている点でも、血糖値をコントロールすることはダイエットを成功させる上で大事なポイントです。

もちろん桔梗だけを食べるといった極端なダイエットはおすすめできませんが、ついつい食べ過ぎてしまったり、食物繊維が不足しがちという方は日々の食生活に上手に取り入れてみると良いでしょう。

ただし、桔梗に含まれているサポニンは人体に影響する可能性があるため、しっかりと下処理する必要があります。摂取するならば調理済みのものや、ハーブティーなどから摂取するのがおすすめです。

トラジ特有の成分をコスメとして

桔梗は意外なところでは化粧品の原料としても利用されています。キキョウ根エキスには皮膚をうるおすエモリエント作用があるため保湿剤として使われたり、天然由来の酸化防止剤として配合されたりすることがあります。

医薬品の配合生薬に

すでにお伝えしたように、桔梗は生薬成分として長い歴史があります。漢方薬では「桔梗湯」という桔梗を主薬とした処方があり、のどの痛みや炎症のあるときに服用すると優れた効果を発揮します。

桔梗湯を飲むときにはそのまま飲んでも効果はありますが、うがいしてから飲み下すとより喉に効果的といわれています。

また、他にも市販薬の風邪薬にはキキョウエキスとして非常によく使われています。喉が痛い方向けの風邪薬やのどの炎症止めなどに入っていることが多い成分です。知らず知らずのうちに、桔梗のお世話になっている方も多いことでしょう。

桔梗の摂取において注意したいこと

桔梗は食品として取り入れる限りは安全性が高いものではありますが、場合によっては注意が必要なことがあります。とくに次のような点に注意して摂取するよう心がけましょう。

咳症状やのどの乾燥が強い場合

桔梗には水分の排泄を促す作用があり、過剰な痰を排泄したり、痰がから咳には効果が期待できます。しかし、逆に喉の乾燥が強い場合や、乾いた咳(空咳)が出る場合には、水分が奪われて余計に悪化することもあります。

空咳が出る、咳症状がひどい場合や、のどの乾燥が強い場合には、摂り過ぎに注意するようにしてください。また、あくまで食用や飲用で摂取する場合はお薬のような薬効は期待できません。症状がひどい場合は医師に相談の上で摂取することをおすすめします。

食物アレルギーがある方

桔梗はキキョウ科の植物です。もしキキョウ科の植物にアレルギーがある方や、食物アレルギーがある方は摂取する際には医師などにご相談いただく方が安全です。

どんな成分に対してアレルギーが起きるかはわからないため、もし摂取してから違和感があればすぐに摂取を中止するようにしましょう。

妊娠中・授乳中や病歴のある方

桔梗はとくに妊娠中や授乳中において禁忌の植物ではありませんが、安全性を考えるとなるべく医師に相談してからの摂取がおすすめです。また、お子様に食べさせる場合や、何らかの病気で治療中の方についても同様で、あらかじめ相談してから摂取していただくことをおすすめします。

桔梗を生活に取り入れてみよう

桔梗は日本に古くから伝わる伝統的な植物であり、漢方の世界でも重宝されている代表的な生薬の一つです。食用としてさまざまなアレンジを楽しむこともできますが、日常的にはハーブティーとして活用するのが一番手軽な方法です。

喉が乾燥しやすい時期、イガイガするときなど、自分ですぐセルフケアしたいというときこそ、桔梗の出番です。また、ダイエットや食物繊維不足の解消として食用で取り入れていただくのも良いでしょう。ぜひ、お家に桔梗をストックしておいて、のどのケアや体調管理に取り入れてみてくださいね。

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