十五夜は旧暦の8月15日に月を鑑賞する行事です。
十五夜の始まりは中国から伝わった里芋の収穫祭が始まりではないかと言われていますが、正確なところはわかっていません。
日本に伝わったのは平安時代ごろからと言われ、貴族階級の酒宴や詩を詠む風雅な月見から始まり、一般に広がるにつれて収穫を祈る信仰としての側面が強く現れました。
信仰対象となったのは月で、月へのお供えとして季節の収穫物がその日にはお供えされるようになりました。
十五夜には他の呼び方があるのですが、芋名月・中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)と呼ばれます。
芋名月と言うのは、主食となる稲の収穫にはまだ早いため、この時期に旬を迎える里芋を蒸してお供えしていたところからきていると言われています。
ススキを飾る風習も稲に似ているからと言われています。
月見団子とは?
お団子とススキをお供えする由来は?
お月見ではお団子やススキをお供えしますが、その由来はどんなものでしょうか。
お団子
十五夜にお供えするお月見団子は満月を表すとされています。
白くて丸い姿は確かに満月のようです。農作物の実りへの感謝を示し、お供えした後はお下がりを食べると健康に過ごせると言われています。
ススキ
ススキは御供物の中でも、神様が取り付くことのできる依代と考えられています。
本来の依代は稲穂ですが、まだ稲穂が実る前の季節のため、稲穂の豊作祈願として姿が似ているススキが選ばれたとされています。
また、お月見がすんだ後にお供えしたススキを家の軒先に吊るしておくと1年間病気をしないで過ごせると言われています。
その他、季節の草花や収穫物をお供えすることもあります。
秋の七草であるキキョウやフジバカマなどがそうです。
月見団子の作り方
上新粉と呼ばれるうるち米を粉にしたものを使うのが一般的です。
上新粉に熱湯を回しかけてこね、蒸し器で蒸してさらにこねて球状にします。
もち米を粉にした白玉粉はもちもちとした食感が人気ですが、冷めると形が崩れてしまうのでお供えするには不向きです。
最近では上新粉と白玉粉をブレンドして食感をよくしたレシピがあったり、すでにブレンドしてある団子粉も売っています。
また、関東では丸い形が一般的ですが、関西や九州では楕円形の団子もよく見かけます。
さらにきな粉やあんこをそれにまとわせて、月にかかるかすみ雲を表現したものもあります。
お供え方法
できたお団子は月がよく見える場所に大きなお皿や三方の上に白い紙を敷き、十五夜にちなんで15個、山形に積み上げます。
2020年の十五夜はいつ?
秋の澄んだ夜空に丸い月が昇る風情はたまらないものがありますよね。十五夜の月は見上げる高さもちょうどよく、一年の中でも最も美しくて見応えのある月と言われています。
そんな十五夜ですが、毎年日にちが変わることをご存知でしたか?
元々、旧暦の8月15日を十五夜としますが、月の満ち欠けを基準としていた旧暦と太陽の動きを基準としている新暦では1〜2ヶ月のズレがあるので、毎年日付が異なるのです。
今のカレンダーで言うと9月中旬〜10月上旬の間に十五夜の日がやってきます。ちなみに2020年の十五夜は10月1日です。
また、必ずしも満月とは限らず、1日2日ずれることが多いです。これも月の満ち欠けの周期がおよそ15日と一定ではないためです。
今年は一日あとの10月2日が満月と言われていますが、お供えや行事自体は暦通りに行うのが一般的です。
十五夜だけじゃない? 本当は3回あるお月見の日とは?
お月見は十五夜だけではないのをご存知でしたか?
中秋の名月は特に美しく、有名ですが他にも十三夜と十日夜と呼ばれるお月見があり、この3つを全てみられると縁起が良いとされています。
それぞれどのようなお月見なのでしょうか。
・十三夜
名残の月、後の月とも呼ばれます。
お供えされる作物からついた名前は、豆名月、栗名月とも言います。
旧暦の9月13日の夜のことで、2020年は10月29日です。
・十日夜(とおかんや)
旧暦10月10日に行われていた収穫祭のことを指します。
2020年は11月24日です。
この3つの月見を合わせて三月見と呼ぶことがあります。
中でも十五夜と十三夜はセットで月見をしないと片見月と言って縁起が良くないといわれます。
2つのお月見を両方を楽しめると良いですね。
月の満ち欠けと美容
十五夜は満月。
月の満ち欠けは昔から女性の出産や月経に影響を与えるとされ、体だけでなく精神面でもその関わりが重要であると考えられてきました。
その中でも真ん丸お月様の満月の夜はエネルギーを満たすのに最適な日。肌やボディへの栄養の吸収率がもっとも高いといわれるタイミングです。
リッチなコスメを使ったスペシャルケアを行うのにも最適です。香りが好きな方はアロマ を活用しておうちスパを楽しむのもいいでしょう。
運動なら筋トレがおすすめです。
そもそも月の満ち欠けは体やメンタルに作用するのか
新月から次の新月までの間が約29.5日間なので女性の月経サイクルとほぼ同じです。
新月から上弦の月を経て満月にいたるまでの間はチャージ期とも呼ばれ、エネルギーを吸収する期間と言われています。
対して満月から下弦の月を経て新月になるまではリセット期と呼ばれます。満月で満ちた様々なものをデトックスしていく期間です。
余分なものを排出していくことや、燃焼力が高まる期間と言われるので、リセット効果の高いハーブやスパイスを使って燃焼を促してダイエットに取り組むのも良いでしょう。
また、リンパマッサージやピーリングなどのケアもおすすめです。
運動はしっかり汗をかくことを意識した運動が良いのでジョギングなどが良いでしょう。
中秋の名月、大人な十五夜の過ごし方
もうすぐ訪れる中秋の名月をどのように過ごすと良いでしょうか?
ここでは大人の女性に向けて、少し落ち着いたお月見の楽しみ方をご提案いたします。
・ベランダや窓際でお酒や食事を楽しむ
お家でまったり過ごすなら、ぜひ窓際やベランダにグラスを持っていきましょう。
お気に入りの飲み物やちょっとしたおつまみを添えて月を眺めながら楽しめば月の光でいつもとちょっと違う神秘的なものを感じられるかもしれません。
・部屋の電気を消してキャンドルナイトにする
お部屋の明かりを消して、月明かりとキャンドルの灯だけが揺らめく空間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ヨガや軽いストレッチなどをするのにも良さそうです。
・秋の花を飾る
なかなか時間がない方は、秋にまつわる花を買ってお供えする気持ちで飾ってみてはいかがでしょうか。
お月見の時期の草花はススキだけでなく、撫子、キキョウ、クズなどがあります。
おすすめなのがピンポンマムと呼ばれる菊の一種。
まるで満月のような丸いフォルムが可愛らしい花です。ぜひ花屋さんで見つけてみてください。
・お香を焚く
和の行事ということで、お香を焚いてみてはいかがでしょうか。
お香にもたくさん種類があり、お線香のようなものから白檀、アロマのような洋風の香りも選べます。
お好きな香りのお香を焚いて秋の夜長を楽しんでみてはどうでしょうか?
・水面にうつる月を眺めに、池や川へ散策してみる。
昔の貴族たちは舟を出して水面に映る月を眺めたと言います。
夏に蛍を見に行くように、少し歩いて水面に映った月を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。
昔から満月は豊穣の象徴だったともいわれていました。
お月見は秋の実りへの感謝の行事でもあり、貴族の雅な行事でもありました。
現代のお月見はなかなかお団子作りからお供えまで、とはいかないこともありますが、忙しい毎日の中で、空を見上げて月を愛でる一晩があるのは素敵な思い出になりそうですね。
ぜひ今年のお月見を楽しんで下さい。
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