どんな人でも1日1回は絶対にすることってなんでしょう?
答えは「食べる」
食べることは、身体や肌や髪を作り、生命を繋げる行為となりますが、時として私たちの心を支えてくれることもあります。
リフェットセレクトでは、これからの「生きる」や「美しさ」「健やかさ」を考えるにあたり、しなやかに生きる”美しい人”から食についてお話を伺うことにしました。
初回は美容家・コスメプロデューサーであるTAMAKOさんに、「食の記憶」や「お茶の時間」についてお話いただきます。
幼少期の”食”について
―TAMAKOさんの幼少期の食生活について教えてください。
私自身、オリジンが日本、韓国、中国、ロシアといろいろ混ざっているので、食や言語など、さまざまな文化に囲まれてきました。
中でも食に関して言うと、“アジア食”という大きなカテゴリーの中で育ってきました。
学生時代に友達の家に行った時、キムチが常備されていないのを見て、自分の家がちょっと違うなと気づいたのを覚えています(笑)
あとは祖母がよく薬膳スープを作っていて、高麗ニンジンや鹿の角、ナツメなどが家にありました。薬膳が常に身近にあり、大きくなった今でもそこが私の食のルーツとなっています。
―小さいときに食べたものや食体験で印象に残っていることはありますか?
母が自然食にこだわりを持っていたので”なるべく手作り”が基本で、あとはお野菜、魚、お肉などは新鮮なものをいただいていました。
印象に残っているのは、オリーブオイルを子供のころに毎日(健康のために)おちょこで飲まされたことや、庭で育てていたアロエを剥いてすりつぶしたものをそのまま食べさせられていたことですね(笑)
当時は嫌だったことも、子供の頃に続けていたおかげか今ではオリーブオイルを「おいしい!」と感じますし、いろんな味覚を幼少期に体験したことによって、出されたものは何でもいただけるようになりました。
また、最後に育つ味覚と言われる「苦み」が早くに形成され、好き嫌いなく大人になれたのはとてもありがたく感じています。
―食にまつわる新商品やレシピを紹介されていたり、食に興味のあるTAMAKOさん。食に興味を持ち始めたきっかけを教えてください。
食事は誰にとっても欠かせないものですが、私自身が”よりおいしいものを食べたい”と食の追求を始めたのは、記憶にないくらい私にとって当たり前のこととなっています。
海外に住んでいたこともある関係から、食事はその土地の文化を知るための切っても切り離せない要素と感じています。
そして食と深く関わる「香り」も同じで、食事(=香り)からの記憶というのは、私自身がSHUGYOKU(TAMAKOさんがプロデュースするアロマスキンケアブランド)を作った原体験となっています。
食へのこだわり
食へのこだわりは人一倍強いですよ。
ピザで言ったら、ナポリ風なのかローマ風なのかとか。パスタで言ったら、カルボナーラではパンチェッタやベーコンではなく、グアンチャーレ(※1)を必ず使いたいです。
本場で使われているものを使うことで、文化や歴史を知ることができるので、そういった側面からもどんどん料理の深みにハマってしまっています。
SHUGYOKUでは植物エキスなど自然のものを使っているのですが、商品開発で成分や原料を調べていると、植物や香りなどから色々な歴史が繋がっていくのが面白いですね。
歴史や食は一見するとスキンケアと全く異なるものに見えますが、私の食へのこだわりがコスメ開発にも繋がってきているんです。
(※1)豚トロを塩漬けにして2、3週間熟成させたもの。表面に胡椒などのスパイスやハーブをすり込んであるものが多い。
―大人になってから食で気を付けていることは?
“バランス良く”を心がけています。
炭水化物やたんぱく質だけにならないよう意識しつつ、栄養バランスが偏らないように新鮮なお野菜を摂るようにしています。
あとは、ダイエットを意識すると、油を減らす傾向になりがちですが、そうすると体の潤いがなくなってしまう。なので、スキンケアの観点からもなるべくフレッシュな質の良いオイルを摂るように心がけています。
普段常備しているオイルは、6種類くらいあります。加熱用のオイルはオリーブオイル、ごま油、米油。そのまま使うものはエキストラヴァージンオイルやえごま油など、用途によって使い分けています。
―ご自宅ではどんな料理を作りますか?
普段はレシピのない創作料理です。野菜をメインに、そこにプラスお肉かお魚。
私に欠かせない食材の一つがキムチなので、キムチを使ったアレンジ料理をよく作っています。
(キムチは)塩分があるので週に3回くらいですが、植物性の乳酸菌が腸活にも良いので積極的にいただいています。白菜だけではなく、大根やえごまの葉も時には自分でつけています。(生のえごま葉は常備しています!)
―えごまの葉もおいしいですよね。今ハマっている食材はありますか?
昔からよくいただいているのですが”クコの実”です。クコの実を毎日10粒程度おやつ代わりに。料理に使うのが面倒な方はそのままおやつで食べるのもオススメです。
口寂しいときにもぴったりで、自然の甘みもありますし、栄養面でも特に女性におすすめです。
食事は小旅行
―コロナの影響で旅行の機会が減っている今、自然の恵みを受けた食べ物だけでも気分は変わりますよね
そうですね。私は、毎回の食事は小旅行だと思っています。食事を摂ることによって味覚の旅に出ています。
最近の小旅行は… メキシカンですね。私はグルテンに弱いのとダイエットの理由から、メキシカンは一年に数回のみご褒美で食べるのですが、ワカモレ(アボカド)であればいつでも罪悪感なく食べれます。
香りが好きなので、自分で作る時はコリアンダーを必ず入れて作っています。(ちなみに和食の香り物だとセリが好きです!)
やはりメキシカンもテクス・メクス(※2)ではなく本場のメキシカン料理をいただきます。
本場の方がよりヘルシーでもありますが、トウモロコシの粉をふんだんに使っているので食べる量には気をつけています。
(※2)メキシコ風のアメリカン料理
リフレッシュとリラックスのために
―TAMAKOさんにとってお茶の時間とは?
自分自身に戻れるリラックスとリフレッシュの時間ですね。
日常の煩雑なことに気を取られ、仕事とプライベートの境目もなく過ごしてしまうことがあるので、お茶の時間をあえてしっかりとります。
私にとっては、気分の切り替えと体の中の潤いを感じられる時間になっています。
そして毎日いただいていているお茶でも、日によって甘く感じたり刺激が強く感じたりするので、お茶の時間は日々味覚が変わることを意識できる”体調のバロメーター”にもなっています。
毎日10分か15分くらいですが、子供のころから飲茶の習慣があったので、お気に入りの茶器でお茶をいただくのは心の落ち着く時間です。
お気に入りの食器だと気分も上がりますよね。
―好きなお茶はありますか?
ずっと好きなのは白茶(パイチャ)です。発酵の度数が少ないので毎日気軽に飲めます。
発酵度数が高いお茶は、胃への刺激を考え控えています。カテキンや緑茶も体には良いのですが、白茶は子供のころからずっと飲んでいて親しみ深く、体にも良いので今も飲み続けています。
あとは黒人参茶をコーヒーの代わりとして飲んだり、プーアル茶やウーロン茶も家に常備していて食事によって使い分けたりしています。
―黒人参茶を初めて飲んだ時の感想は?
黒人参茶クレンズが特にお気に入りなのですが、すごく懐かしい香りでした。ウコンと黒人参のハーモニーだと思います。
私は薬膳や自然のものに囲まれて育ってきたので、黒人参茶の懐かしい薬膳の香りには飲んですぐ直感的に「これ好き!」と感じました。
―黒人参茶はどんなシーンに取り入れられていますか?
仕事や集中しているときはコーヒーに手が伸びてしまいがちですが、カフェインや香りの影響があるので、それをよりヘルシーなものに代替えすると考え黒人参茶をコーヒーの代わりに飲んでいます。
味のコクもあり満足感があるのでストレスがあるときほど取り入れていきたいです。時間帯は夕食時や午後にいただくことが多いです。
またお酒が好きで夕食が終わったときにそのまま飲み続けてしまうことがあるので、お酒を飲む前のリフレッシュとしても飲んでいます。
ーお酒が好きでしたら、ウコン(ターメリック)が入ったお茶はピッタリです!
ストレスがあるときはなかなか自分でその状態に気づくことが難しいので、お茶を飲む時間を通してストレスが溜まっていることに気付くのも大切ですね。
お話をお伺いした方
ヨーロッパをはじめ、世界各国で5万人以上の肌に触れてきた元エステティシャン。数々のヨーロッパトップメゾンブランド日本オフィシャルトレーナーを歴任、トリートメント開発にも携わる。皮膚科学、生理解剖学、栄養学など、理論と実践を結びつけた美容家。「SHUGYOKU(シュギョク)」開発者であり、化粧品原料開発コンサルタント。
2008年「Via・Monte」をオープンし、多くの美容関係者はじめセレブリティを顧客に抱えたことから大人女性が心身共に楽しめるエイジング機能とラグジュアリーな香りを追求した美容アロマコスメ「SHUGYOKU」を2011年を発表。
リフェットセレクトの店長をしながらnatohaブランドに携わっています。商品開発からブログ更新、お客さまとのコミュニケーションなど、なんでもやっています。高校時代はスイスで過ごし、大学から東京暮らしに。山や自然をこよなく愛する1児の母。静岡出身、上智大学フランス語学科卒。