玄米はダイエットに最適な主食として知られていますが、他にも健康や美容に優れた効果があることをご存知でしょうか?
玄米は「完全栄養食」と呼ばれるほど栄養豊富ですが、「食べづらい」「美味しくない」などの理由から敬遠されがちです。また、栄養や効果について詳しく知らない方も多いかもしれません。
さらに、玄米を食べるときには、いくつかの注意点もあります。ポイントさえ守れば美味しく玄米をいただくことも可能です。そこで今回は玄米の栄養と効果、おすすめの食べ方と注意点について詳しくお話します。
CONTENTS
実は意外と知らない!?玄米の栄養成分とは?
玄米は栄養が非常に豊富であり、さまざまな栄養を同時に摂取できる優秀な食品です。玄米の一番外側にある「ぬか層」は白米では取り除かれてしまいますが、この「ぬか層」には多くの栄養が豊富に含まれています。
玄米の栄養の70%近くは炭水化物で、他にもタンパク質が6%程度、脂質が3%とバランスよく含まれています。白米と比べてタンパク質や脂質が豊富に含まれていることが特徴で、他にも次のような栄養を効率よく補うことができます。
食物繊維
玄米の最大の特徴ともいえるのが豊富な食物繊維です。白米と比べると10倍もの食物繊維を含んでいます。100g中から3gもの食物繊維を摂取でき、とくに不溶性食物繊維が多いことが特徴です。
不溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり整腸作用を発揮し、便のカサを増やすことでお通じを促す作用、コレステロールの吸収を抑える作用もあります。食物繊維は第6の栄養素ともいわれるほど大事な成分ですが、現代人では不足しがちです。
ビタミン・ミネラル
玄米にはビタミンB1,ビタミンEなどのビタミン、マグネシウムやマンガンなどのミネラルも含まれています。とくにビタミンB1が豊富で白米と比べると10倍以上含まれていることが特徴です。
その他の栄養成分
ストレス軽減作用で知られるGABAやフェルラ酸、リノール酸、イノシトール、γ-オリザノールなどの健康作用に優れた成分が含まれていることも玄米の特徴です。
以上のように、玄米は食物繊維やタンパク質、ビタミン・ミネラルに加えて、体にとって大事な栄養がたっぷりと含まれているのです。
玄米と白米の美容効果の違いとは
玄米には豊富な栄養成分さまざまな健康効果や美容に対するメリットがあります。では、白米と比べてどんな効果が玄米にはあるのでしょうか?
ダイエット効果
玄米といえばダイエットフードというイメージがある方も多いのではないでしょうか。玄米を白米の代わりに食べることで、健康的に痩せられると注目されています。
玄米がダイエットに良いといわれるのは、ビタミンやミネラルや食物繊維が豊富であるためです。ほぼ炭水化物からなる白米を食べるよりも、代謝が良くなり、食物繊維の働きで腹持ちも良くなるため少量で満足感を得られやすくなります。
さらに白米と比べて血糖値をあげにくく、玄米は低GI食品としても知られています。血糖値が安定しやすいため食べ過ぎを防ぎ、デブホルモンと呼ばれるインスリンの過剰分泌を防ぐ効果も期待できます。
腸内環境を整える
玄米には豊富な食物繊維が含まれているため、腸内環境を整えるには最適な食品です。お腹に溜まった老廃物のおそうじ役としての作用、腸のぜん動運動を活発にして自然な排便を促す効果があります。
腸内環境は便秘やお腹のトラブルだけではなく免疫や睡眠などにも深く関わっているので、腸からの健康を目指すためにも玄米はとてもおすすめです。
美容効果
玄米は日本に伝わるスーパーフードとも言っていいほど、美容にも欠かせない栄養が多く含まれています。ビタミンB群は脂質代謝に関わる栄養であり、皮膚の健康を保つなど女性にはうれしい効果もあります。
さらにビタミンEには老化と関わりの深い抗酸化作用があり、フィチン酸には毒素をデトックスする作用があるなど、美容にプラスとなる成分が豊富に含まれています。
知らないと損をする!?玄米の気をつけたいポイント
玄米は栄養豊富で非常に優れた効果がありますが、気になるデメリットの噂も聞かれます。間違った情報を鵜呑みにすることの無いように、玄米のことを正しく理解しておきましょう。
残留農薬
玄米は健康に良いと言われているものの、残留農薬には注意する必要があります。稲を収穫して「もみ」を除いたものが玄米で、さらに「ぬか」まで除いたものが白米になります。この「ぬか」の部分には残留農薬が含まれる可能性があるのです。体のことを考えるならば、なるべく無農薬、減農薬玄米を選ぶと良いでしょう。
フィチン酸の影響
玄米に含まれるフィチン酸は抗酸化物質で血液サラサラに作用するなど優れたメリットがある反面、ミネラルの吸収を妨げてしまうという弱点があります。フィチン酸にはミネラルと強く結合するキレート作用があるためです。
ただ、このフィチン酸は玄米中のぬかと結合して「フィチン」として存在しているため、玄米を食べてミネラル不足になる心配はほとんどないとされています。心配であれば野菜や海藻類を意識して多く食べるようにすると良いでしょう。
糖質は白米と変わらない
玄米は太らないと思われがちですが、白米と糖質の量は変わりません。そのためダイエットで糖質を抑えたいという場合は、玄米とはいえども食べ過ぎには要注意です。
ただ、同じ量の糖質が入っていても玄米は食物繊維を同時に摂取できるため消化も吸収も緩やかになります。栄養面でも優れているので食事制限を伴うダイエットのときこそ玄米を上手に取り入れると良いでしょう。
玄米が合わない人もいる
玄米は体質によっては食べるとお腹が張ったり、かえって便秘になってしまうことがあります。不溶性食物繊維が多いため、消化しづらく胃腸に少し負担がかかりやすいためです。
初めて玄米を食べる場合や白米から切り替えるときには、少量から始めて、良く噛んで食べると消化の負担を減らすことができます。栄養豊富な玄米から効率よく栄養を吸収するためにも、最低50回は噛んで食べるようにしましょう。
他にも次のような方は注意が必要です。
- 大腸の病気がある場合
不溶性食物繊維が刺激となって悪化する場合があります。
- 貧血
フィチン酸による鉄の吸収を妨げる可能性が否定できないため、治療中の方は主治医に相談することをおすすめします。
- 腎臓疾患のある方
カリウムやリンなどのミネラルが豊富であるため、腎臓の病気がある場合にも注意してください。
おすすめの玄米の食べ方
体に良いとは分かっていても、「玄米は食べづらい」、「硬くてボソボソする」など苦手意識を持たれる方が多いようです。でも、食べ方さえ工夫すれば、格段に玄米は食べやすくなります。ここでは自宅でも簡単にできる、玄米のおすすめの食べ方をご紹介します。
寝かせ玄米
玄米は十分に浸水させても硬くて食べにくいと感じられることがあります。そこでおすすめなのが「寝かせ玄米」です。小豆を混ぜて塩を加えて圧力鍋で炊いた玄米を、3日から4日かけて常温で寝かせて作る玄米です。
寝かせることで甘みが増して、時間をかけて水分を飛ばすことで柔らかくもっちりと仕上がることが特徴です。少し手間はかかりますが、一度にまとめて炊いておけば冷凍保存もできるので作ってみてはいかがでしょうか?
玄米甘酒
飲む点滴とも呼ばれる甘酒は玄米を使って作ることもできます。水分を多めに炊いた玄米に米こうじと塩を加えるだけで、簡単にご自宅でも作れます。
甘酒には麹菌やオリゴ糖などお腹にも良い成分が含まれていて、肌の保水力を高めてくれることも分かっています。白米だけで作るよりも玄米を使った玄米甘酒の方がより栄養バランスに優れていることもメリットです。
玄米を食べて健康美を手に入れよう
玄米にはダイエット効果だけではなく、健康と美容に多くのメリットがあります。主食を玄米に切り替えるだけで栄養を大幅にアップできるため、栄養が不足しがちな忙しい現代人にこそ取り入れてもらいたい食品です。
ただ、ご紹介したように玄米は食べ方や選び方に少し工夫が必要で、体質によっては食べすぎると逆に負担になってしまうこともあります。ご自身の体の声を聞きながら、玄米を毎日の食事に取り入れてみてくださいね。
薬剤師
大学院卒業後、国内外の製薬会社や調剤薬局にて薬の企画開発・マーケティングからDI業務(医薬品情報業務)など、幅広く薬に関わりながら、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメの販売業務を行う。
現在は、今までの経験を生かし、薬剤師として勤務する傍ら、正しい薬の使い方をはじめ、生活習慣や食習慣の改善を提案をする薬剤師ライターとしても活動中。